魚道とは?

魚道の種類、魚道の設計の専門サイトです。

魚道とは、川の段差部に設けた魚の通り道です。

〇 魚道(ぎょどう)とは?

 河川に設けられた治水のための人口構造物の中でも、川の全幅を横断して設置される堰堤(えんてい・写真-1右側の横断構造物)などは,、河床に段差を設けるための治水構造物です。魚類をはじめとする川の生き物が、川を海から山へ 、山から海へ移動しようとするときに、この堰堤の段差により行く手を阻まれることとなります。「魚道」とは、魚類がこの人口構造物の段差を乗り越えて通過することができるようにするため設けられた「魚の通り道」のことです。

 

〇 アユの生態は? 

 アユなどの回遊性のある魚類は産卵などのため定期的に海から山へ、山から海へと回遊           堰堤の段差部と棚田式魚道

します。アユだけではなくモクズガニなども海と山を回遊するため、川を「連続したビオ

トープ」とするために「魚道」は欠かせない存在です。

 アユの一生は、川で生まれて仔魚のまま川の流れに乗って海へ移動して稚鮎に成長します。稚魚になると生まれた川の水の臭いを覚えているので、生まれた川の河口へ戻って来て上流を目指して川を遡上していきます。できるだけ上流部に上ることで競合するアユが少なくなり、エサとなる河床の玉石などの表面に生えるコケを十分に食べることができるので、成魚として大きく育つことができます。成魚になり繁殖期になると、子孫を残すため海に近い川で繁殖行為を行うために川を降下します。そこへは多くの雄や雌のアユが集まってきています。ここで繁殖行動をとり、やがて役目を果たして命が果てますが、無数の卵を子孫として残していきます。数日で卵から孵化した仔魚は、川の流れに乗って海へと向かい成長し、次の年の水が温む春になると稚鮎となって再び生まれた川に戻って来るのです。                                   

 

〇 河川には、なぜアユの遡上を阻害する段差部があるの?

 若アユの遡上が始まりました。しかし、河川には堰堤(えんてい:写真-1)とよばれる、治水を目的とした大きな段差部を形成する人口の治水構造物があります。堰堤の数は川の勾配が急な河川ほど多く設置してあります。この堰堤の役目は、豪雨などで洪水が発生すると河床を洗堀して大量な土砂を濁流と共に下流へ流出しますが、洗堀が続くと河床が深く掘られ、やがて堤防の洗堀にまでも影響が及ぶこととなります。

 

〇 河川の段差部は大切な治水構造物です。

 堤防が洗堀され決壊に至る大惨事へと繋がることを防ぐため、堰堤の役割は濁流による洗堀で河床土が流出しても、堰堤の上流部では堰堤の天端の高さまで流出土を堰き止めて貯留  写真-2:堰堤が河床の洗堀を防止

させることにより、河床の低下を防止する効果があります(写真-2)

 堰堤の天端の高さより河床が下がらないようにすることで、洗堀される河床の高さの限界高さをコントロールすることができることとなります。その河川に堰堤を設ける数はその河川の勾配が急な河川ほど設置数が多くなり、段差部の高低差も大きくなったりしますが、この河床の洗堀高さをコントロールできる効果により河川の氾濫を防ぎ、人間の生命財産を守ることができるため河川の大切な治水構造物となります。

〇 人と自然との共生のため「魚道」が設置されます。

 このように、治水上とても大切な堰堤(えんてい)ですが、その治水のための段差部が魚類の移動に立ちはだかることとなります。この課題を解決するのが「魚道」です。多くの研究者が課題解決のため、様々な形式の魚道を開発してきました。この画面上部「魚道の種類」の項目で各種魚道形式の説明をしていますのでクリックしてご覧ください。

                                           写真-3:棚田式魚道ブロック

〇 従来の魚道のいくつかの課題を解決して開発された「棚田式魚道」 

 右のブロック(写真-3)は、従来の魚道の抱えてきた幾つかの課題を解決した「棚田式魚道」の設置に使用する「棚田式魚道ブロック」です。棚田式魚道は段差部から下流方向に向かって180°の扇状に広がる形状をしています。この形状により魚道の側面からの遡上経路を備えています。

 また、縦断方向の勾配よりも横断方向の勾配を急になるよう計画してあるため、縦断方向より横断方向へ水が集まって流れていきます。この効果により、自然河川の流量の変化にも対応可能となるなど、幾つかの課題を解決しました。棚田式魚道は、またの名を「スリット付きプール壁タイプ魚道」とも呼ばれています。プール壁を形成する自然の玉石と玉石の間のスリットが多様な流れを創出し、魚類だけではなく川に棲む多くの生き物もこの多様な流れの中を自分の体力に合わせて通過していくことが出来ることとなりました。

 併せて魚道表面全体を細かな自然石の凹凸で覆われていることで、この凹凸が魚道底面の流れに減速効果をもたらすことで、この層の中をアユが遡上していくことも調査により確認されています。

詳しくは、この画面上の「棚田式魚道とは?」クリックしてご覧ください。

 

〇 棚田式魚道の特長のひとつ:魚道表面の細かな自然石の凹凸形状

 プール壁として魚道ブロックに並べた自然の玉石の形状は同じものは有りません。

また、玉石と玉石の間のスリット部の大きさも多様ですので流れも多様な流れが生じます。この多様な流れが、アユをはじめとする水棲生物の通過経路となります。

 アユは自分の体力に合った流れの経路を選んで遡上していくことができるようになりました。また、ブロック表面の細かな自然石の凹凸(写真-3)は魚道表面の流速を和らげる機能を持っています。現地調査により魚道面から5㎝程度の水深の範囲で流速が減速しており、実際にアユが細かな凹凸のある魚道表面を這うように沿って遡上していく姿が確認されています(写真-4)

この自然石の細かな凹凸効果としては、流れの減速効果と共に、カメ、カニ、エビなどが  写真-4:底面に沿って遡上するアユ

爪を掛けることができることで、流れの中を上流に向かって魚道内を移動する際にも、移

動し易い効果を発揮できるなど、魚類以外の水棲生物にも優しい魚道となっています。

 

 

魚道 種類について

 全国各地の河川には治水のために様々な堰堤が設置されてきました。河川の幅や深さなどにより人口構造物の形状は様々です。それら様々な堰堤にその場に適した魚道が検討され設置がされてきています。

魚道については様々な研究がなされその形状、機能によって体系化されています。対象魚種やその生態によっても形状が異なります。

代表的な魚道の種類についてそれぞれ説明をします。

魚道の課題

 様々な形式の魚道が開発され設置されていく中で、魚の遡上に効果がある場合は一定の河川環境の改善に繋がりました。

 

しかし一方で、以下の傾向に偏りがありました。

一定の魚種だけを対象として魚道が開発された。

自然河川の流量の変化に対応できる魚道が無かった。

魚道側面から上ることができない魚道が殆どであった。

魚道のプール水深はアユが跳躍して上流側のプールに移動す

 るため助走距離を考慮して60cm 以上のプール水深が必要と

 されていたが、土砂が溜まるのを防ぐことができなかった。

砂防ダムなど高低差が大きな個所に設置する魚道が開発され

 なかった。

 

そのため①~⑤の課題を解決するため新たに⓵~⓹の条件を満たす新型魚道の開発に取り組みました。

多種多様な水棲生物に対応可能な魚道。

自然河川の流量の変化に対応できる魚道。

魚道の側面からも上れる魚道。

洪水などでも魚道のプールに土砂が堆積しない魚道。

高低差が大きな砂防ダム等に設置できる魚道が無い。

 

⓵~⓹の条件を満たす新型魚道「棚田式魚道」を開発しましたので右上の「棚田式魚道とは」を クリックしてご覧ください。

 


棚田式魚道とは?

魚道ブロックとして二次製品化しました。   誰が施工しても魚道の品質を確保できます。

棚田式魚道(写真-1)は旧来魚道の様々な課題を解決する魚道として、国土交通省中部地方整備局と山辰組が共同開発に携わらせて頂いた特許魚道です。

               (写真-1)棚田式魚道

①旧来魚道は段差部から下流方向へ向かって左右の側壁に挟まれて階段状に突出してその先端に狭い上り口がある構造でした。

 下流から遡上してきた魚類はその狭い上り口に偶然到達しなければ、上り口を通り過ぎて進み堰堤の段差部の壁にぶつかってしまうことになりました。

そこで、棚田式魚道の全体構造を段差部から下流方向に向けて180°の扇形の間口に広げることで、どこからも魚道上り口に到達できる形状としました。

天然アユの遡上調査では、この扇形構造により左右からの横断方向から上り口の経路を利用した魚は全体の3分の2以上に達しました。

扇形に広がる180°の間口はどこからでも遡上可能となったため、堰堤の壁に突き当たり直下で真っ黒に滞留していたアユの群れの姿は見られなくまりました。扇形状の大きな効果が認められて、棚田式魚道は全国各地で採用され設置が進んでいます。

②棚田式魚道は自然の玉石を使用してスリット付きプール壁形状としているのが特長です。しかし、このスリット付きプール壁を誰もが均一に施工できるとは限りません。

 そこで、どこでも、だれでも一定の品質と効果を確保できる棚田式魚道とするために「棚田式魚道ブロック」として二次製品化することとしました。これにより、場所を選ばず、施工する人を選ばず施工性と魚道としての品質の安定化を実現することができました。

今も、全国各地の河川で魚類を受け入れています。

棚田式魚道の実績

従来魚道が抱えてきた幾つかの課題を解決した「棚田式魚道」は長年にわたり全国各地に設置をされてきました。

 堰堤や現場の地形条件に応じて棚田式魚道の形状に工夫を付け加えました。

① 河川の幅に応じて間口の大きさを対応しました。

② 小さな川幅では費用対効果を勘案し全断面魚道としました。

③ 予算に応じて90°タイプの棚田式魚道も提案しました。

棚田式魚道の基本的な設計思想は、大小さまざまな河川に適合することができるため国、都道府県、市町村の案件にて採用をされています。

画面中央の「棚田式魚道実績」をクリックしてご覧ください。設置された棚田式魚道の一部を紹介します。 


棚田式魚道設計依頼の流れ

魚道 設計ならご相談下さい。

魚道の設計依頼はいつでも受け付けています。

河川の情報、対象魚種などのヒアリングの後、平面図、横断図をCADデータで頂きます。

図面へ棚田式魚道の作図を行い、数量計算書、概算費用資料の作成を行います。

また、開発者は棚田式魚道に関する論文をまとめ、岐阜大学大学院の農学の博士課程を修了しています。

実際に設置された棚田式魚道での遡上実験の調査結果も用意しています。

 お気軽にお問い合わせ下さい。

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